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INTERVIEW「僕が今、鉄鋼館に立つ理由」

2015/6/27 福間創ソロ初ライヴ@鉄鋼館

鉄鋼館共鳴する

子音楽×ェロ×音響

LIVE IN HEAVEN

 

INTERVIEW

「僕が今、鉄鋼館に立つ理由」後編

ふと、”自分自身”になろうと。

――10年以上続けてきたsoyuz projectの活動に終止符を打ちソロになることはいつ頃から考えていたんですか?

 

福間:soyuz も初期の1作目以外は実質僕ひとりだったのですが、元々がsoyuz=“テクノ”というフォーマットにのっとった表現をするところから始まっていたので、 テクノであることにこだわるというか、悪くいうと「囚われている」という状態でした。ラストアルバム「perspective」の頃はコンセプトも崩壊し てきていて、非常に危ういバランスの上に成り立った作品なんです。この国で起こった様々な出来事も含めて行き詰まっていたんですね。もう先がないかなぁ と。で、ふと2014年初頭に「あ、もう“自分自身”でやろう」と意識がシフトしたんです。

 

――そして2014年8月末、初のソロ作品「Flowers -soundtrack-(β.Bulk2014)」を発表。

 

福間:2014 年初夏に制作に入ってみると随分と自由になって。約20年間、僕はグループに所属したりユニット名で活動してきました。すなわち福間創という「自分自身」 である時間や経験が無かったんです。だから実際ソロとして作曲をしてみると、いかにこれまでグループやユニットの型や色に自分や音楽をはめる事にこだわっ ていたのかがよく分かりました。おのずと物事に対してのスタンスや考え方も変わってきたんです。

 

――変わったというのは?

 

福間:作 曲やライヴ、去年から始めたウェブショップなど、活動において基本自分がイニシアティブをとる。当然責任も大きいけれど、自分でアクションすることがこん なに楽しい事だとは知りませんでした。もちろんそれも協力してくれる人の存在があるからこそだけれど。ネット環境、リアル環境ともにインフラが良い具合に 整ってきたというのも大きいですね。

 

――今までは誰かが整えてくれたレールに乗って役割を演じる、または既存のフォーマットに従っていたのが、「福間創」がゼロベースで土台から構築するようになったという感じでしょうか。

 

福間:そ うですね。もちろんレールの上でいかに楽しませるか、フォーマットの中で聴く人を驚かせるかということも面白いんですよ。でも今の僕には少し違うかなと。 僕はこれまでほんとに鉛のように腰が重くて(笑)、どなたかからのオファーを待つという受け身姿勢だったんです。でも今はこうしたいと思ったら積極的にア プローチするようになって。2作目「Flowers-senses- (Bulk2015)」のように生楽器を作品に取り入れるとか、数年前ならまず思い浮かべることさえなかったと思います(笑)。実際に動いてみると、家辺 くんのつながりで素敵なチェロ奏者の方がいたり、最高のシチュエーションのレコーディング場所があったりととてもスムーズに進み、新しい作品が出来上がり ました。

6月27日どんな音の空間が展開されるのか、僕もドキドキです。

――今回のライヴには3人の方を共演者として招いていますが、どんなライヴになりそうですか?

 

福間:と ても面白いと思いますよ。シンセサイザー使いの中村さんと僕、弦楽器奏者の佳音さんと有音さん。全く畑が異なるので、音楽のバックボーンや演奏へのアプ ローチ、何から何まで違うわけです。僕がこの弦楽器奏者のお二人に作品やライヴへの参加をお願いしたのも、言い方は悪いけれど、異ジャンルでのセッション にこなれている方よりも、面白い化学反応が起こるんじゃないかと思ったからです。だってテクノとか絶対聴かないような人だもん(笑)

 

――実験好きな性格が出ていますね(笑)。中村さんとの共演はいかがですか?

 

福間:実 は僕、初めて中村さんのデモを聴いた時に惚れたんです(笑)。中村さんは作曲家でかつシンセサイザー使いという点は共通しているんですが、音への取り組み 方は異なり、僕とは違う世界観を構築される方です。中村さんのオリジナリティを僕の表現にプラスしてもらえたらとても良くなると思いました。ソロ2作目で はリミックスで参加していただきましたが、「7曲のうち2曲が中村さんリミックスです」と区分されたものではなく、僕の作品を構成する一部として機能し7 曲が融合して作品は完成しています。ライヴでの共演も、偶然性を含めた予定調和ではない世界をつくれるはずと楽しみです。

 

――さらに今回は会場となる「ホワイエ」に展示されている「音響彫刻」との共演もありますね。中村さんとのセッションで使う予定ということで中村さんご本人も楽しみかと思いますが、観に来られる方もまさにこの日、この場所でのみ見られるセッションですね。

 

福間:万国博当時は音響彫刻を皆が自由に触れて演奏できました。この音響彫刻も長年放置されていたものを数年前、当時の設計者の協力を元に復元されたものだそう で、ライヴのコンセプトや僕の音楽性などを会場側に伝えたところ「せっかくなら音響彫刻とのセッションもいかがですか?」と提案していただけたんです。

 

――ライヴでの音楽表現のひろがりが生まれたんですね。

 

福間:そ うです。1970年に電子音楽で観衆を魅了した「鉄鋼館」という場所、復元された音響彫刻、二世紀以上歴史のある弦楽器、そして今のテクノロジーとの共 鳴。2015年6月27日にどういう音の空間が展開されるのか、演じる僕自身とても楽しみで、多くの方ともに体験したいと思っています。

 

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